トップ > プロが教えるカーケア道場 > 汚れのメカニズムと落とし方 > 【水垢付着】のメカニズムと落とし方

【水垢付着】のメカニズムと落とし方

水垢被害を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

塗装上ではこうなっています

白い車に特に目立つ黒いスジ。
実はその原因のほとんどは、気付かぬ間にわざわざ付けているのはご存知でしょうか?
一般的に車に付着する水垢と呼ばれるものは、塗装面に塗布されたWAXや油分が熱によって溶けて汚れを吸収してしまった物や、ドア廻りや、ミラーの付け根などからグリース等がしみだしボディにこびり付いたものです。 つまり、水垢とは水の汚れ・垢ではなく、汚れた油とワックスが黒くボディ面にこびり付いたものの事(油膜汚れ)を指します。
WAXやコーティングにも色々な種類の素材を使用して製造されていて、塗装への密着状態は千差万別なのですが、ごく一般的なWAXやコーティングとしてご説明致します。 WAXやコーティング剤は、通常塗装面に施工されると半液体状で塗装に付着して艶と撥水性を保持しています。いわゆる油膜のような形で保護膜を形成し、その効果を保持しています。
その液剤により差はありますが、大体半月くらいで、液剤を形成している溶剤分が蒸発します。 その後に残った成分は、WAXやコーティング剤本来の機能を果たすことが出来ずに、大気中の汚れや排ガスなどの汚染物質が吸着し、やがて雨が降った時にそれらが流れ出し、塗装にこびり付いてしまいます。
これが水垢の主な発生過程と言えます。

原因は保護膜(WAXやコーティング)を含む油膜成分!

水垢の原因はWAXやコーティング剤、また雨や大気中に含まれる油分がボディに吸着し、それが劣化したものです。 WAXやコーティングは、通常水垢の防止を目的に施工することも多いかと思いますが、これら保護膜の油膜がお粗末なものだと、早い段階で保護膜自体が変質(劣化)してしまい、かえって逆効果になるケースもあります。 多少こびり付いても次にWAXやコーティングかけた際に大抵は除去出来るのですが、また水垢の原因をわざわざ付けているような物なので、いたちごっこになってしまいます。
こういったケースから、水垢の原因は大気中や雨のみが原因じゃなく、わざわざ原因を作っている可能性もある、という事は覚えておきたいところです。
しかしWAXでもコーティング剤でも、すべてがすぐに劣化するものではなく、質の良い液剤は存在しますので、保護剤をよく吟味して施工し、適度なメンテナンスやクリーニングを行うだけで、水垢の悩みはほぼ解消されます。
しかし、油膜はいずれ必ず劣化します。 WAXやコーティング剤の性能を過信し過ぎずにカーケアを行うのが一番重要なのだと思います。

水垢を除去するには

【分解除去と研磨除去】
水垢のこびり付きは油膜が劣化し、こびり付いたものです。  除去方法として2通りあり、分解除去と研磨除去です。
研磨除去は、相手がもともと柔らかい油膜なのでポリッシングリキッド類でちょっと磨いてやれば簡単に取れます。 また、水垢除去程度ですと、クリーナー入りのWAX等でも代用は可能ですが、また水垢の原因になる可能性もありますので、最後に落とす必要があるかもしれません。
分解除去は、水垢も分解できるような洗剤で洗車します。 水垢が軽度の場合は洗車のついでにこちらを試す方が簡単かもしれません。
しかし、ある程度重度の水垢になってくると、分解と研磨との二段構えで臨む方が綺麗になります。 車全体に強烈に水垢がこびり付いている場合、車全体の水垢をすべて手で取り去ってしまうのはなかなか骨が折れる作業です。 先に水垢を洗剤で分解すると後の作業が楽になります。 しかし、大抵強烈に水垢がこびり付いているている場合は、塗装の表面も若干侵しています。 洗剤で分解すると水垢が取れて残った塗装はボケている事が多いため、それを調整する意味でポリッシングリキッドで軽く磨くと艶も出て、綺麗になります。

今後の対策を考える

【まず、いたちごっこを避ける】
WAXで水垢を除去しながら水垢の原因をさらに塗布するのは避けましょう。 全てのWAX・コーティング液剤が、すぐに劣化するわけではありませんので、よく吟味してご使用いただくのが良いかと思います。油膜はいずれ必ず劣化しますので、WAXやコーティング剤の性能を過信し過ぎずに、適度なメンテナンスを行いながらカーケアを行うのが一番重要、かつ車を一番綺麗に維持出来る方法です。

関連商品

合わせて読みたい

経年劣化【塗装劣化】のメカニズムと直し方

経年劣化【塗装劣化】のメカニズムと直し方

経年劣化(塗装劣化)を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

塗装面も時間の経過とともに徐々に劣化してきます。劣化が進行し過ぎると、修復には再塗装しかないような状態にもなってしまいます。 塗装そのものは、その塗装によって丈夫な塗装、弱い塗装色々ありますが、様々な要因で徐々にでも経年劣化を起こしてきます。 一言で経年劣化(塗装劣化)と言っても色んな状態があり、表面のその状態が単なるスクラッチキズの蓄積なのか塗装の劣化した層の部分なのか、大抵は両方がある場合がほとんどでなかなか見分けにくいものです。 基本的にはイメージとして上のイラストのような感じなので、プロが磨き作業する場合は、劣化した色の薄くなった部分とスクラッチキズを一緒に磨いて除去するイメージで作業します。上の写真と断面イメージはまだ割と初期の段階と言えますが、放っておいてどんどん進行させると塗装剥離(塗装が剥がれてしまう)やクラック(塗装の割れ)を起こしてしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。 劣化が進み過ぎて、塗装剥離やクラックを起こした場合には再塗装しか手がなくなってしまいます。 その場合の塗装作業も通常の塗装とは違い、古くなって劣化した塗装を一旦剥がしてしまってから再塗装を行わないと、またすぐに劣化したり、塗料が密着せずに剥がれたりします。したがって、劣化塗装の塗り替えは必要以上に手間と時間がかかるために、通常の鈑金塗装作業よりもかなり高額になる事も多くあります。 また、一部分がそういう症状になっているという事は、特殊な場合を除いてはかなり広範囲に及んでいることが多く、それもまた修理費用がかさんでくる要因になります。また、クリア塗装が剥離してしまう前の段階では、薄ら白っぽい膜を張ったような状態になり、やがて進行するとポロポロとクリア塗装が剥がれてきます。 白っぽい膜を張ったような状態になってしまうと既に手遅れの場合がほとんどです。ただ、最近の車の塗装は性能も良くなっており、すぐ劣化してしまうという事はあまりないのですが、油断しないでカーケアメンテナンスを行う事が大切ではないかと思います。

【ウォータースポット・イオンデポジット】付着のメカニズムと取り方

【ウォータースポット・イオンデポジット】付着のメカニズムと取り方

ウォータースポット・イオンデポジット付着を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

水が乾いた痕が洗車しても全く取れないウォータースポット・イオンデポジット。一度付着するとさらにダメージが進行する厄介者です。 ちなみにウォータースポットは総称です。 平たく言うと水の痕なのですが、その状態によって付着しているだけの時もあったり、凹んでいる時があったり様々です。まず付着しているだけの物はイオンデポジットとか呼ばれ、ボディ面に付いた水が蒸発した際に水の中に含まれる成分(様々なイオン分等)が残った残留物。 一応、上の画像とイラストが、イオンデポジットのイメージ図となります。 その残留物が水のあった場所にクッキリと痕を残してこびり付くとイオンデポジットになります。 雨が降ったりした後に水が乾くのは、車両を使用する上でどうしようもないことですが、大抵は普通に雨が蒸発しただけではそんなにひどい状況までなる事は少ないです。ですが、雨の水分中に含まれるイオン分等の含有量が多かったりした際に、一気に高温で焼かれたりするとガッチリこびり付くことが多いようです。 水分中の成分と、高温がキーポイントとなりイオンデポジットが付着しやすい状況になります。 一般的に雨よりも水道水の方付きやすく、水道水よりも井戸水の方が付きやすいです。 お家のお風呂場や水回りをご覧いただくと分かるのですが、普段水分を拭く事が少ない場所は結構イオンデポジットが付いていると思います。 また、ボディ面が高温になりやすい白い車より黒い車の方が付着率は高くなります。 後、黒い車はイオンデポジットが見えやすくもあります。これらを考えた時に、夏場の黒い車の洗車時などは結構付着確率が高いと言えます。 夏場の洗車後に炎天下の下で自然乾燥などをやってしまうと大抵一撃で付きます。それでも、これは初期の段階でこれが進行してくるとなかなか厄介になります。 一度ガッチリ付着してしまうとイオンデポジットのダムが出来、次の機会に水が付いた時には必ずそこに溜まるようになってしまいます。 そしてさらに高くて丈夫なダムを蓄積していき段々と進行してきます。ちなみに、付着してしまうと軽い物ならば洗車で落とすことも可能ですが、完全に焼けてこびり付いてしまうと普通の洗剤では落ちません。