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黄砂の被害から愛車のボディを守る

車に付着する黄砂の被害

黄砂の発生メカニズム

毎年春先になると様々な問題として取り上げられる「黄砂」ですが、今年は特に話題のPM2.5と共により特に注目されております。
お車に与える影響も年々変わってきており、そのまま放置しておくとかなりの被害を被る恐れもあります。
黄砂とは、文字通り「砂」の種類ですが、その由来は主として中国のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠や黄土地帯で偏西風によって吹き上げられた多量の砂塵が、上空の風に運ばれて日本まで飛来し、降下する現象のことを言います。
この現象は気象の影響によるもので、主に3~5月の春期に多く見られ、飛散の多いときには、実際に空が黄褐色に見えるほどで、現象を目視で確認することが出来ます。

黄砂の組成は一定ではなく発生源や飛散ルートによって異なる!

黄砂は飛散していく過程で大気中の様々な粒子を吸着し、化学反応を起こしており大変複雑な組成となっています。そのため、発生源によってその組成が異なることはもちろん、飛散するルートによっても組成が異なってきます。
例えば、黄砂の粒子を触媒として、大気中の硫酸アンモニウムが湿気によって黄砂に吸着し、黄砂に含まれるカルシウムがアンモニアと化学反応し、硫酸カルシウム(石膏)に変化することがわかっています。
また、黄砂の発生源とされる地域を区分してそれぞれの黄砂に含まれる成分を分析したところ、1つの地域では、ケイ素が最も多く含まれており、別の地域のサンプルでは、二酸化ケイ素が多い等それぞれに異なった特徴を持っています。
そのため、一概に「黄砂=こういうもの」という定義が出来ないため、黄砂による影響を受けた際の対応策や事前の対策も難しい物となっています。

黄砂の塗装面への影響…

黄砂は、カルシウム分を多量に含むため、多くの場合その残留成分でイオンデポジットが発生してしまいます。
黄砂に多く含まれるミネラル分は、イオンデポジットの原因となるカルシウムイオンやマグネシウムイオンが主体であるため、黄砂が塗装面に付着した状態で雨が降ったり、夜露等の湿気を含むことで、容易にイオンデポジットが発生してしまうということが問題になります。 この現象は、黄砂に限らず日常の洗車による水道水や井戸水の使用でも見られる現象ではありますが、黄砂の場合にはその原因物質がより多く含有されているため現象がさらに起きやすくなります。

イオンデポジットは、カルシウム等のミネラルが水分の蒸発で残留物が堆積していく 現象
イオンデポジットはカルシウムなどの成分が、水に含まれた状態で塗装面に存在した場合に、水滴として蒸発をした場合に発生します。  黄砂に含まれている炭酸カルシウムなどが、水に流れ出し、水分が蒸発する際に水に溶け込んでいた二酸化炭素や酸素などと結びつき、堆積して白い固形物を形成します。さらに、また水分が付着した際に、固形物が壁の役割をして同じところに水滴が出来ることで、蒸発と堆積を繰り返しより強固な固着物となっていきます。
参考ページ:ウォータースポットのメカニズムと取り方

黄砂は水によって1点に集まり被害を拡大していく

黄砂の上に乗って流れた水は、水滴状になり、張力によって黄砂が1点に集まって行きます。
この状態で水分が蒸発、乾燥するため、レンズ効果も伴った状態でとなり、従来のイオンデポジットのように外周だけでなく、中心部にもより固着したデポジットが残留することになります。

防御の最大の基本は、黄砂の堆積後、出来るだけ早く洗車をすること!

最も基本的で重要なことは、付着後できるだけ早く洗車をして除去してあげることですが、その洗車に対しても、黄砂は砂ですので洗車方法にも十分に注意し、大量の水としっかりとシャンプーを泡立ててソフトに作業を行わないと傷の原因となってしまいます。
黄砂の付着した車両やイオンデポジットが固着してしまったボディに対しては、「スポットリムーバー」のような酸性クリーナーを使用することで、黄砂のアルカリ成分を中和する作用があり、アルカリの残留を防いで塗装面やコーティング被膜の性質を素早く取り戻すことが可能であるとともに、イオンデポジットの除去作用も期待できることから、大変有効な手段であるということが出来ます。
ただ、イオンデポジットに留まらず塗装面に浸食までが見られる場合は、ポリッシングリキッド(コンパウンド)類で磨く前に、ヒートガンやヘアードライヤー等で被害箇所に熱を加えることで簡単に消える場合がありますので、まずは試してみるのがベストです。
いずれにせよ、早期に洗浄・対応する事が重要になります。
また、そういったアフターケアも重要ですが、何より塗装面とのクッションの役割をするトリートメントの被膜や、コーティング剤被膜をしっかり掛けておく事も重要ではないでしょうか。

実際のケアには複合的な要因の見極めが大切です

実際には黄砂の飛来とともに、同時期に発生する花粉や今年大きな環境問題として取り上げられているPM2.5など、複数の物質が同時に飛散して塗装面には付着しています。
そのため、単純に黄砂に対しての対応のみで塗装面への影響を除去することは難しい場合もあります。
例えば花粉は成分的にタンパク質が主体で塗装に与えるダメージのメカニズムも全く異なります。含まれるアミノ酸が降雨で塗装面に固着し、乾燥で収縮してダメージを与えます。
また、PM2.5は比較的近年になり着目された物質で、これは工場や自動車の排煙やVOCなどの環境汚染物質が粒状化したもので、塗装面に与える影響などの知見もまだ少なく、今後の研究が必要です。
このように塗装に付着する物質に対する対応は、対象物により異なり、状況を見極めて適切な対処をしていくことが大変重要になります。

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