トップ > プロが教えるカーケア道場 > 汚れのメカニズムと落とし方 > 【樹脂劣化】のメカニズムと修復方法

【樹脂劣化】のメカニズムと修復方法

樹脂劣化を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

表面上ではこうなっています

無塗装の樹脂類は、古くなると表面に艶がなくなりボケてきます。
塗装とは違い劣化スピードは早目です。
輸入車や商用車等によく使われている未塗装の樹脂パーツは、表面に塗装されていいないということもあり劣化が思いのほか早い段階から起こってきます。 未塗装樹脂が使用されているパーツは車によってまちまちですが、バンパーが丸ごと未塗装樹脂だったり、バンパーやドアの真ん中あたりのモールが未塗装樹脂だったりします。 表面は、シボ模様(小さい凸凹模様)の物も多いですが、艶消しの表面をしているものもあります。 これらのパーツが多く使われている車両は、樹脂パーツが劣化してくると車自体も劣化してきたように見えてしまい締まりなく見えてしまいます。 
また、劣化の進行度合いにもよりますが、最終的には表面がボロボロと粉をふいたようになってしまい、塗装で言うところのチョーキングのようになります。 劣化が進行してくると、塗装がない分磨くわけにはいかず、コーティング剤で綺麗に見せるような補修方法になります。
劣化とは異なりますが、樹脂パーツはシボ模様の物が多く使われており、よくWAXやコーティング剤をシボの凸凹の隙間に詰めているのをよく見かけます。 これも車が締まりなく見える原因になりますので、放置せずに着いたらすぐ取るようにするのが良いかと思います。

原因は直射日光や降雨!

原因として考えられるのは、太陽光による紫外線等や降雨等で表面が徐々に劣化してくる事が考えられます。 塗装がないがゆえに、それだけ劣化するスピードも早く、これらのパーツが多く使われている車のユーザー様の悩みの種ではないでしょうか。 劣化してくると白ボケしてきたような状態になり、一度そうなってしまうと塗装と違って磨くことも出来ずどんどん進行します。
これといって特別な劣化防止対策がないのが難点ですが、樹脂パーツ専用のコーティング剤はあります。 ただ、これは劣化防止剤ではなく艶出し剤の部類になりますので、効果を確認した上で使用するのが良いかと思います。

樹脂類劣化を修復するには

【専用コーティング剤にて修復を行う】
樹脂の劣化は、根源から絶つことは交換する以外不可能ですので、修復はコーティング剤にて行うのが基本となります。 レザーワックス等も樹脂モールや樹脂バンパーに使用できますが、油を塗って艶を出しているようになるだけなので、水性・油性問わずすぐに落ちてしまうものがほとんどです。 対して専用のコーティング剤であれば、水に濡れても落ちることはなく長持ちします。 専用のコーティング剤でも目的は艶出しとなり、劣化防止にはなりませんので注意が必要です。 ただ、常に濡れたような艶を維持できるのはかなりの魅力で、尚且つ綺麗に見せるのに非常に効果的です。
また、樹脂パーツ表面のシボ模様等にWAXやコーティング剤を詰めて固まってしまったのを修正するにはスーパーウォッシュのようなマルチクリーナーが効果的です。 詰めた箇所に液剤を付け詰めたものを分解します。 さらにマイクロファイバークロスや柔らかいブラシで奥に詰まっているWAXやコーティング剤を掻き出して洗い流します。
この作業はモールコーティングを施工する下地処理としても大変有効です。

今後の対策を考える

【考えられる工夫を】
原因が原因だけに完全なる対策らしい対策は難しいかと思いますが、樹脂そのものを劣化させない工夫として、直射日光を極力さける、降雨を極力避けるなどの工夫でかなり軽減できるのではないでしょうか。 
樹脂パーツ用コーティング剤はあくまでも艶出し効果を出すコーティング剤です。保護というよりも、劣化してしまった樹脂の復旧を目的にご利用ください。

合わせて読みたい

チッピング【飛び石】のメカニズムと対策

チッピング【飛び石】のメカニズムと対策

チッピング(飛び石)を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

高速走行のみならず、一般道路を走っていても容赦なく飛んでくる飛び石の弾丸!小さくてもその威力はフロントガラス表面をも欠損させます。 飛び石のダメージは、主にのバンパーやボンネットの前廻りや、サイドステップあたりの下廻りによく見られます。上の左側の写真真ん中あたりの凹みが飛び石のダメージのある部分ですが、この写真では塗装の欠けまではなく、どちらかというと陥没してるような飛び石ダメージになっています。 通常よく見られるのは右側のイラストのパターンで、飛び石が飛んできて、塗装面と下塗り部分もろとも欠損させていくパターンです。 イラストのようになると、欠損した部分の塗装がない状態になり、鉄板が見える状況になります。 また、鉄板まで行かずとも下塗りが見える状態になっていることも多く、非常によく目立ちます。 飛び石は黒い車の方が、下地や鉄板が白っぽく見えるようになるために非常に目立ちます。車が汚れていたり、スクラッチが入っていたりすると割とぼやけて分かりにくいのですが、ボディ面を綺麗にすればするほど浮いて出てきたように見え、逆に目立ってしまう場合もあります。 磨きやコーティングに車を預けて戻ってきたら、やたら目立つようになった、といったケースは大抵これで、もともとあったものが増えたのではなく、コントラストがはっきりするようになったために目立つようになったというケースです。

チョーキング【塗装ボケ】のメカニズムと直し方

チョーキング【塗装ボケ】のメカニズムと直し方

チョーキング(塗装ボケ)を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

塗装が劣化してきてボディ表面が粉をふいたような状態になる事があります。いわゆる古いガードレールのような感じになり、これをチョーキングと呼びます。 ちょっと拡大しすぎて少々分かりづらいかもしれませんが、上の画像とイラストがチョーキングのイメージとなります。チョーキングのイメージで言う一番分かりやすく例えられる物がガードレールです。 新しいガードレールなら触ってもどうもないのですが、古くなったガードレールを触ってしまい白い粉が付いてしまった経験がおありかと思います。 塗装の表面が劣化してしまいチョークの粉がふいたような状態になる事をチョーキングと言います。塗装はチョーキングを起こしてしまうと粉が噴いた表面が柔らかくなり、艶を戻すのは割合簡単に戻りますが、またその後再発する場合がほとんどです。 また、粉を噴くようなチョーキングはソリッドの単色の塗装の表面に起こっている事が多く、クリアー塗装がされてある車両は、チョーキングの代りに表面のクリア層が白ボケを起こし、さらに進行するとやがてクリア塗装剥離といった状態になります。 塗装劣化全般に言える事ですが、多少ならば割とどの車にも見られますが、極端な状態になってしまうと修復が困難になってしまいますので、そうなる前に対策をしておくのがカーケアのセオリーじゃないかと思います。 とは言え、極端な塗装劣化やチョーキングは、塗装の質による要因も多いかと思います。ただ、最近の車の塗装は性能も良くなっており、すぐ劣化してしまうという事はあまりないのですが、油断しないでカーケアメンテナンスを行う事が大切ではないかと思います。

細部の【油汚れ】のメカニズムと落とし方

細部の【油汚れ】のメカニズムと落とし方

油汚れ被害を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

ドアの内側のヒンジ部分等は可動部のためグリスアップされており、時間の経過とともに埃等も混ざって黒くなって汚れが固着してきます。実際に油汚れと言っても、塗装に付着するメカニズムは基本水垢と同じで、両者の明確なラインは特にありません。 あえて違うと言えば、水垢が油膜に対してなら油汚れは油膜じゃなくグリース等の油に泥や埃、その他様々な汚れが吸着して劣化し、こびり付いた状態を指します。 例えるならば、台所の換気扇汚れのような感じになります。 車の外装部分は、こういった状態になる事は少ないのですが、主にドアパネルの内側等の可動部分周りに固着した油汚れが存在する場合が多いです。 実際これらが付着していても、表面の油に汚れが付き蒸発して固着しているだけで、これといってすぐに害はないのですが、美観がかなり損なわれます。 ただ、いつでも取れる、と、あまりに長期間放置しすぎると、塗装に固着する場合もあります。また逆に、こういった箇所が綺麗な車は全体的に車が締まって見えますので、カーケアのちょっとしたポイントとなります。  ちなみにプロが作業する時も、こういったパッと気付きにくい場所にも手を入れて全体的なまとまりを出しています。