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細部の【油汚れ】のメカニズムと落とし方

油汚れ被害を徹底検証 ダメージを受ける原因・メカニズムと修復方法を知る

塗装上ではこうなっています

ドアの内側のヒンジ部分等は可動部のためグリスアップされており、時間の経過とともに埃等も混ざって黒くなって汚れが固着してきます。
実際に油汚れと言っても、塗装に付着するメカニズムは基本水垢と同じで、両者の明確なラインは特にありません。 あえて違うと言えば、水垢が油膜に対してなら油汚れは油膜じゃなくグリース等の油に泥や埃、その他様々な汚れが吸着して劣化し、こびり付いた状態を指します。 例えるならば、台所の換気扇汚れのような感じになります。
車の外装部分は、こういった状態になる事は少ないのですが、主にドアパネルの内側等の可動部分周りに固着した油汚れが存在する場合が多いです。
実際これらが付着していても、表面の油に汚れが付き蒸発して固着しているだけで、これといってすぐに害はないのですが、美観がかなり損なわれます。 ただ、いつでも取れる、と、あまりに長期間放置しすぎると、塗装に固着する場合もあります。
また逆に、こういった箇所が綺麗な車は全体的に車が締まって見えますので、カーケアのちょっとしたポイントとなります。 

ちなみにプロが作業する時も、こういったパッと気付きにくい場所にも手を入れて全体的なまとまりを出しています。

主な原因は可動部分のグリース等!

油汚れの原因は主に可動部分のグリースであったり、防錆処理の油脂系の物質が原因であったりします。
これらが溶け出し汚れが吸着してくることで、黒ずんだり固着したりして、車の美観を損ねてしまいます。 また、ドアの内側にもこういった油脂系の物質が入っており、雨等で溶けだされて、サイドステップ辺りに水洗いで取れない少し粘度のある油汚れとなって固着させたりします。
上記の項でも書いていますが、塗装に対してすぐに害を及ぼす事は少ないのですが、これらがあると車が締まって見えませんので、常に綺麗にしておくことが全体的なまとまりを見せるポイントとなります。
左の上の画像は、ハッチバックを開けた箇所が油汚れで真っ黒になっている状態です。
下の画像は、油汚れがしっかり取れてスッキリとして見える印象が全く違います。

油汚れを除去するには

【分解除去でスッキリと】
通常のボディシャンプーではほとんどの油汚れが伸びるばかりで取りきれません。
除去方法で一番効率がいいのは、スーパーウォッシュ等の油脂分解能力の高いマルチクリーナーでの分解除去です。
スーパーウォッシュは油汚れに対する洗浄力が非常に高く、油汚れで真っ黒になっていても問題なくスッキリ綺麗に除去出来ます。
外装などに軽く油が垂れた跡が付いている場合はマイクロファイバークロスでの乾拭きで簡単に取れる場合もあり、多少の固着ならポリッシングリキッドで除去するのも大変有効です。
また、洗剤でも分解しかねるほど固着が見られている場合は、ピッチクリーナーでの除去が大変有効となります。

今後の対策を考える

対策らしい対策はないのですが、洗車時に一緒に洗浄したりすることで油汚れが固着してしまう前に早目に取る事となり、車をいつも綺麗に維持出来、要らない作業をせずに済みます。

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夜、ライトでで照らされたり、太陽が燦々と降り注ぐ下でギラギラ見えるスクラッチ。車のボディはこのスクラッチが少ないほど、光沢が高く反射率が高く、映り込みが綺麗に見えます。 太陽の周りに丸くキズが見えていると思います。 WAXを掛けるときスポンジを円状に動かして行くとこういうキズが入るのだ、と、見え方から思いがちになりますがが、実はたいていのキズは直線なのです。 太陽の周りや、明かりで照らされた周りが際立って見えるためこういう見え方になります。また、キズは塗装表面で乱反射して目立つため、その数が多いほど光沢も低くなります。 キズが少ないと乱反射が少ないため、光沢・反射ともにより鏡面に近くなり、綺麗に見えるようになります。 塗装を鏡面にする、磨き作業とはキズを消す事です。カーケアショップやコーティング施工店で行う鏡面加工とは、すなわちスクラッチ除去作業と言っても良いでしょう。キズは、塗装の表面が切れた状態になっていますので、光が乱反射され色的に言うと白く見えます。 上のイメージ図で言うと谷の部分が切れた箇所、上の左の写真ではキズが白く乱反射しているのがよくわかると思います。 色のコントラストの関係で、色が濃い車ほど傷が目立つのはそのためで、逆に言うと色の淡い車はどちらかというとあまりキズは目立ちません。後、クリアがあるのとないのとでも見え方が違います。 例えば黒の塗料に直接キズが入って乱反射する場合はより目立ち、クリア層にキズが入って乱反射する場合は、透明であるクリアにキズが入り、その下に黒の層がある形になるので、多少見え方が変わってくるのです。

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塗装面も時間の経過とともに徐々に劣化してきます。劣化が進行し過ぎると、修復には再塗装しかないような状態にもなってしまいます。 塗装そのものは、その塗装によって丈夫な塗装、弱い塗装色々ありますが、様々な要因で徐々にでも経年劣化を起こしてきます。 一言で経年劣化(塗装劣化)と言っても色んな状態があり、表面のその状態が単なるスクラッチキズの蓄積なのか塗装の劣化した層の部分なのか、大抵は両方がある場合がほとんどでなかなか見分けにくいものです。 基本的にはイメージとして上のイラストのような感じなので、プロが磨き作業する場合は、劣化した色の薄くなった部分とスクラッチキズを一緒に磨いて除去するイメージで作業します。上の写真と断面イメージはまだ割と初期の段階と言えますが、放っておいてどんどん進行させると塗装剥離(塗装が剥がれてしまう)やクラック(塗装の割れ)を起こしてしまい、取り返しがつかなくなってしまいます。 劣化が進み過ぎて、塗装剥離やクラックを起こした場合には再塗装しか手がなくなってしまいます。 その場合の塗装作業も通常の塗装とは違い、古くなって劣化した塗装を一旦剥がしてしまってから再塗装を行わないと、またすぐに劣化したり、塗料が密着せずに剥がれたりします。したがって、劣化塗装の塗り替えは必要以上に手間と時間がかかるために、通常の鈑金塗装作業よりもかなり高額になる事も多くあります。 また、一部分がそういう症状になっているという事は、特殊な場合を除いてはかなり広範囲に及んでいることが多く、それもまた修理費用がかさんでくる要因になります。また、クリア塗装が剥離してしまう前の段階では、薄ら白っぽい膜を張ったような状態になり、やがて進行するとポロポロとクリア塗装が剥がれてきます。 白っぽい膜を張ったような状態になってしまうと既に手遅れの場合がほとんどです。ただ、最近の車の塗装は性能も良くなっており、すぐ劣化してしまうという事はあまりないのですが、油断しないでカーケアメンテナンスを行う事が大切ではないかと思います。